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「雪だね」
はるかの言葉に目を覚ます。
「あ、きれい」
窓から見える教会も公園も白くなっていく。
ブランゼールまで後二駅、不思議と雪が暖かい。
ラムゼーの街で汽車は止まった。
「車掌さん、どうしたの?」
「リムリルで戦争が始まったんだよ、しばらくは汽車を進める訳にはいかなくなりました」
私達は途方にくれた。
ラムゼーの駅に降りてみると、大きな時計がかけてあり、静かに時を刻む音がしていた。
待合室のストーブの脇に、黒い猫が寝てる。
「私はブランゼールに着かなければならんのに」
黒髭の紳士は杖をつきながら話していた。
「私達もブランゼールに用があるんです」
はるかは紳士に話しかけた。
「小さな娘さん達、今のリムリルは危険なんだ、あなた達では到底無理だよ」
黒猫が私の膝に乗ってくる。
「でも、バニラが必要なんです」
「なんと向こう見ずな」
私にはバニラが何かわからなくなった。
「他に交通はないんですか?」
私は親友のはるかの為になにができるんだろう。
「キドニー港のジルに聞いてみるかい?」
黒いマントのおじいさんが言う。
「ジル?」
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