2人が本棚に入れています
本棚に追加
「キドニーでは一番早い船を持ってる。じゃが、戦争と、この雪じゃ。船を出してくれるかのぅ」
「キドニー港へはどういけば?」
「あそこのバスに乗りなさい」
二人でうなずきあい、駆け出した。
「おじいさん、ありがとう」
黒猫は私の肩にいる。
バスは古く、床を踏むとギィーと鳴った。
「キドニー港へは行きますか?」
「ああ、すぐに着くよ」
時々咳き込むような古いバスでキドニー港へ向かった。
景色がすべてモノクロームに見えるようだった。
途中、ふと、はるかに聞いてみた。
「私達が最初に出会ったのは、どこだっけ?」
はるかはちょっと考えて、
「雪の降る駅だったね」
私は、少し身震いした。
窓の外はゆっくりと行き交う人々が見える。
クリスマスの飾り付けが始まっているようだ…
最初のコメントを投稿しよう!