木漏れ日の中で…

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「キドニーでは一番早い船を持ってる。じゃが、戦争と、この雪じゃ。船を出してくれるかのぅ」 「キドニー港へはどういけば?」 「あそこのバスに乗りなさい」 二人でうなずきあい、駆け出した。 「おじいさん、ありがとう」 黒猫は私の肩にいる。 バスは古く、床を踏むとギィーと鳴った。 「キドニー港へは行きますか?」 「ああ、すぐに着くよ」 時々咳き込むような古いバスでキドニー港へ向かった。 景色がすべてモノクロームに見えるようだった。 途中、ふと、はるかに聞いてみた。 「私達が最初に出会ったのは、どこだっけ?」 はるかはちょっと考えて、 「雪の降る駅だったね」 私は、少し身震いした。 窓の外はゆっくりと行き交う人々が見える。 クリスマスの飾り付けが始まっているようだ…
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