夕焼けの電車にて…

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…ぁかり、あかり、行くよ」 「ん…?はるか、どうしたの?」 幼なじみのはるかが呼んでる。 ドングリの木の下で、暖かい夕焼け空を見上げていた。 風がオレンジと黄色に染まり、ドングリの葉がふんわりとスカートに降り積もる。 はるかは金色のすすきの近くから私を呼んでいるみたい… 眩しくて目を細める。 暖かい風に、少し息を止め、ゆっくりと立ち上がった。 レンガの道を歩き始めて、制服だったことを思い出し、 スカートの葉を払っていた。 はるかと暖かいオレンジの風の中を歩きながら、他愛のない話に夢中になっていた。 はるかは右手の小さなノートを読みながら、私を緑の匂いのする牧草地へ連れて行く。 「この辺のどこかなんだけど…」 「何を探してるの?」 「ん…あった。あの家だ」 私ははるかに手を引かれながら、白壁とレンガの家に、たどり着いた。
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