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――日差しが眩しい。
時刻はもう十二時。
世間一般ではお昼の時刻である。
私と痴漢男は、近くの公園にいた。
――なっ。
「言っただろ?被害妄想の会、代表者」
「ない…」
驚いた。
警官の言葉に何も反応出来ないくらいだった。
――そう。
「腕が無いんですよ僕」
ははと苦笑いする間違われた男。
私たちは、どれくらいパニックに陥っていたか、馬鹿としか言いようがない。
人の思い込みは世界も救えそうだ。
私はそんなくだらないことは、冷静に考えることが出来た。
彼は両の腕を持ち上げようとしたが、上がらなかった。
そこにはあるべきものが無く、だらし無く垂れるコートの袖しかなかった。
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