鳴蝉

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遠く それでも鮮明に見えていた 声伝えの君さえ 数日連絡が途切れただけで 滲み霞みぼやけた あれだけ近くに感じていた 確かな温もりも いつのまにか この手からこぼれ落ちて ギラつく真夏の太陽さへ 幾分か涼しいと感じる ふいに 暑い暑い庭で 蝉が鳴きはじめて 冷たい部屋の隅 蝉につられて 私も泣いた それはそれは 短い夏を嘆いた
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