+†傷痕

5/9
193人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
  ────…   痛い   あれ?痛みを感じれる…? 死んで なかったのぉ…?   「目覚めたかしら…?お姫様。」 にこっと笑って私を見ている女が居た。   「だれ…?」   「余の事でしょうか?余は─…ただの通行人ですぞ。」   嘘だよね?通行人が此処までしてくれる訳ないしさ…   「痛む所はありますか?」   優しい笑顔…   「触らないでっ…通行人なんかに…なんかに…」   「……余は通…行人…通行人なんかじゃ…」 ほぉら…やっぱり嘘… バレバレだったけど…   「その…余は貴方と関係はあります─…」 「なに、?私の…なに?」   「……お友達…ですよ。覚えてないはず。」   また嘘っぽかった でもあまり気にしなかった。   「体が完治するまで余の家で休んで下さい…いいですね?」   まあ 動けないし…   「うん…」 そう言うと優しい笑顔が また見えた。         数時間たった 私は寝てしまって今 起きた所である 時計なんかなくて 女の人は優しい笑顔私の顔を見てた。   「お姫様にプレゼントです…!」 「愛羅…愛羅でいいよ。」 「分かりました、私は……」 「…名前ないなら呉邉【クレベ】がいいな」   「承知…呉邉で構わないですよ」   私の発言のたびに優しい笑顔が 見えた。         「で…プレゼントって?」 「ああっ!これです…薔薇」 「綺麗…」 「愛羅は赤色が好きだったから…赤い赤い…薔薇です」   どうして赤色が好きって知ってるの? そうは聞かなかった。 なんだか どうでも良いような気がして…   「花瓶にいれておきます。」       そこから記憶はしばらくない 寝たのかな…?   幸せだったのは 覚えてる─… 痛くなくて 安心できて 傷が感じられないくらい 寂しさもなくなって… ゆっくりできて… 時間が止まって欲しいって願うくらい。 幸せだったのは覚えてた。     でも幸せな時間は長くは続かなかった。     しばらくして いやいつぐらいか覚えてないけど…     「愛…羅…!」 「呉邉──…!?」 「逃げてっ…!」     血まみれでも呉邉は優しい優しい笑顔だった──   私を安心させてるの?   貴方の傷を見ていたら 安心なんて できないよ──…     「あらら?しぶといのねっ」     聞き覚えた あの声… これは…     お姉ちゃんの声だった。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!