悪夢の幕開け

6/7
204人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
「もう来やがった...」 前崎が暗く謙虚な顔で言った。 その時場の空気が固まった気がしたが、俺は気にせず続けた。 「やばいぞ..逃げ場が無い...」 俺達の居場所から逃げるとしても、後方から来てる化け物の視界に写るのは避けられない。 仮に逃げ出しても、 殺されるだろう。 それだけは絶対させるわけにはいかねぇな。 俺は右のポケットに手を突っ込むと、一つの鉄の刃を取り出した。 カシャッ。 そう。 折り畳みナイフだ。 今頼れる物が、 この一握りの鉄の刃しか無い。 皆が驚く表情をしている中、一人だけ俺に話しかけてくれる温もりがあった。 「テル...それ...ナイフ..?」 恵だった。 「あぁ...あいにくこれしか武器が無くてな..」 俺は恵の目を見ずに答えた。 「そのナイフで...何するの..?」 決まってるじゃないか。 無論。 あの化け物の足止めだ。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!