下らない原因

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「ん?何村?」 購買部のパンを頬張り、前崎に何となく返事を返してみる。 「犬鳴村だよ、いぬなりむら!」 前崎が少しだけムッとして繰り返す。 「知らん。その犬鳴村がなんだってんだ?」 パンをぎこちなく噛み、喉に流し、お決まりのオレンジジュースを飲みながら返事をした。 「それがよ、何でもその村、入口に看板が建っててさ!」 前崎は急に俺に向き直り、嬉しそうに話し始める。 「その看板にはよ、こう書かれてるらしいぜ…」 ここまでの話はあまり頭に入って来なかったが、次の一言で確実に俺の頭が醒めた。 「この先、日本国憲法一切通用せず…ってな」 前崎は続ける。 「それでその村に入った人達は絶対に戻って来ないらしいぜ…どうだ?…怖いだろ?」 「別に…でも面白い話だな…その村何処にあるんだ?」 俺の素朴な質問を前崎は鼻で笑うと答えた。 「…詳しい所は分かってる…それでだ…テル」 「一緒に犬鳴村にいかねぇか?」 「はぁ?」 「だから…俺と一緒に犬鳴村にいかねぇかって言ってんだよ!」 「二人だけでか?」 俺VS前崎の質問と返答対戦が始まった。 「クラスの奴らを何人か連れてくんだよ」 「どうやって行くんだよ…」 「テルの愛車があるだろ!」 「…。仮に犬鳴村に着いたとしよう、そしたらお前は何をするんだよ」 「それは…」 「ん?言えないのか?何かあるな?」 「…うるせぇよ! で、どうするんだ? 行くのか?いかねぇのか?」 「いかねぇ。 俺には何の得も無いし、逆にガソリン代かかるからめんどいな」 ぼそりと呟き、対戦は終わったかのように思えたが、あっさり打ち砕かれた。 「恵が来るぞ。」 「!?」 「今なんと…」 .
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