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「恵が来ると言ったんだが?」
随分間抜けな挑発顔で、俺を煽るかの如く、視点を俺から外さない。
「だからなんだ…?」
俺は強がってみせたが、この話題で勝てないという事を次の前崎の一言と知る。
「そうか…行かないんだな、じゃあ俺は恵と二人だけで出かけるとするか…」
「…くよ…」
「はい?なんですか?」
これは前崎。
「行くつってんだよ!
その犬鳴村だろうがなんだろうが行ってやらぁ!」
――格好わりぃな俺…。
「そうかそうか、来てくれるなら良いんだよ、うん」
決して崩れない間抜けな顔で笑みを浮かべながら、俺の肩を叩く。
一発殴ってやろうかとも思ったが、内申に響くからやめといた。
…犬鳴村か。
しょうがねぇ、付き合ってやるか。
俺はこの話しに乗ってはいけなかったんだな。
それを知るのはまだ先の事になるが...。
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