*置き去りの記憶*

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自転車をこぎながら、 良からぬ事を考えたりした。 それだけで、不安に押し潰されていた。 バンッ!!!!!! 病院に着いた僕は、 澪が居る病室のドアを開けた。 そこには、 ベッドに静かに横たわる、 愛しい彼女の姿があった。 澪の親は泣いていた。 白い肌に傷跡は一切無く、 頭に包帯が巻かれているだけだった。 何度僕が彼女の名前を呼ぼうとも、 その日澪は目を開ける事は無かった。 後程に僕が聞いた事は、 事故はひき逃げで、澪は奇跡的に無傷。 車にひかれた後、 澪の体は数m飛んだが、 脊髄も損傷していない。 だが、頭を強く打ったらしく、 誰一人として澪の記憶から消されていたのだった。 彼氏だった僕も、 澪の親さえ、 澪の記憶に入る事を拒まれた。 *
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