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少し教室が落ち着いたところで、木下が優しい口調で生徒達に言った。
「さぁ、帰りのホーム始めますよ」
すると、二人の男女が席を立って黒板の前に出た。
この二人はホーム長である。ホーム長とは、世間的によくいう学級委員長のことだ。この学校では、ホーム長はクラスで男女、一人ずつ選ばれる。
「起立」
男子ホーム長、田中智則(たなかとものり)が甲高い声で言った。
ガラ……ガラガラ
一人、一人と立つ。
「今から帰りのホームを始めます……礼」
「始めます」
生徒達が、疲れ果てた声で挨拶をした。
みんなちゃんと立って挨拶をしているのだが、浩利だけは、腕を枕にして寝ていた。
しかし、これは何の問題もない。いつもの光景である。
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