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それは、歩き続けて五分もたっていなかった。
彼は電池の切れたロボットのように、ピタと止まった。
十メートル程手前に、人影が見えたのだ。
クラスの奴かもしれないと、人影に近づいていった。
あと五メートル程度になったところであった。突然、彼の顔色がガラリと変わった。そこには異様な空気が漂っていた。
クラスメートではない。
そう確信し、一歩後ずさった。
その時、冷たい風が、彼を嘲笑うかのように小さく吹いた。
敏感に反応し、ビクッと震え、辺りを見渡した。
さっきまでは風なんて吹いていなかったのに…。
辺りに何もないことを確認して、ゆっくりと前を見ると、その人影はもう目の前に立っていた。
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