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私は形のない神に祈る。
それが偶像だとしても。
この世界が、狂い、壊れて、死んでしまいますように。
「では、行きましょうか」
パラノイアの言葉で、僕らは家を出た。
時間屋の見送る視線が、少し痛い。
僕はそれでも、行かなきゃいけないことを知っていた。
行き先は、偶像崇拝の亡き祖父母の家。偶像崇拝が生まれ育った場所でもあるらしい。
時間屋が教えてくれたのは、そこが一番偶像崇拝がいる可能性が高い、ということだけだった。
「しかし、一人相手に三人か」
ぽつり、と奏者がつぶやく。
僕も大袈裟かな、とは思ったが、実際相手にしてみて、一筋縄ではいかない相手だということはもう知っていた。
作戦を練る時間は惜しかったが、多少なりとも負傷している今が、仕掛け時だった。
自信も何もないが、僕たちはとにかく前へ進む。
「ちょっと、あんた達」
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