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ふと声をかけられ、振り返ると、車のキーを持ったペルソナが立っていた。
「車飛ばしてあげるから、乗りなさい」
「ペルソナさん…」
「私だってね、ちょっとは反省してるのよ。今回の件に関してはほとんど私が情報を隠してたようなものだし…」
反省するような良心、あったんだ。
僕らはその言葉に甘えて、ペルソナの車に乗り込んだ。
流れ出す町並み。
平和で、何も知らぬ雑踏が、僕の視界を横切る。
前は僕もこの中にいたのだ。
もう、戻ることはない『日常』の中に。
「後悔してるの?」
ふいにパラノイアがそう言った。
僕は、迷わず首を振る。
そりゃ怖いし、嫌だし、どうしようもないくらい逃げたくなるときだってある。
けれど、きっとこれが『運命』だったんだ。
運命と名付けられた、未来。
僕は何があっても最後にはここを、この場所を選んだだろう。
僕を見つめているパラノイア。窓の外に目を向けたままの奏者。
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