-捌【偶像】

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 ふと声をかけられ、振り返ると、車のキーを持ったペルソナが立っていた。 「車飛ばしてあげるから、乗りなさい」 「ペルソナさん…」 「私だってね、ちょっとは反省してるのよ。今回の件に関してはほとんど私が情報を隠してたようなものだし…」  反省するような良心、あったんだ。  僕らはその言葉に甘えて、ペルソナの車に乗り込んだ。  流れ出す町並み。  平和で、何も知らぬ雑踏が、僕の視界を横切る。  前は僕もこの中にいたのだ。  もう、戻ることはない『日常』の中に。 「後悔してるの?」  ふいにパラノイアがそう言った。  僕は、迷わず首を振る。  そりゃ怖いし、嫌だし、どうしようもないくらい逃げたくなるときだってある。  けれど、きっとこれが『運命』だったんだ。  運命と名付けられた、未来。  僕は何があっても最後にはここを、この場所を選んだだろう。  僕を見つめているパラノイア。窓の外に目を向けたままの奏者。
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