Side・doll

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毎日夢をみる  いつまでもこの日々が続きますように  叶わないと知っていても  願わずにはいられない  貴方は言葉をくれました  それは人形との契約  それを知っても言葉をかけてくれました  それは私に心の暖かさを教えてくれました  だから私は笑っていることができました 人形の役目は愛されること  それ以外は何もない  愛されることが無くなってしまえば  埃の中で埋もれていく  だから  もしマスターがいなくなってしまうのなら  また別のマスターのもとへ行く  それが人形の生きていく術  でもそんな事も関係ないほど  私は貴方を愛してしまいました  その笑顔  その優しい言葉  そのすべてを慈しむ優しい心  すべてがいとおしく  私の心を縛りました  ずっとそばにいたい  貴方が別の誰かを愛しても  人間と結ばれても  そばにいたいと思いました  でもね…  でもそれは私の我が儘  貴方を困らせるだけ  気味悪がらせるだけ  だから私は  まだ私の心が  独占欲というどろどろした感情に支配される前に  貴方の前からいなくなりたい  この綺麗な気持ちを抱いたまま灰になろうと  自らあの赤く咲く炎へ身をなげました  なのに…  どうして…  まだ貴方の声が聞こえるの?  どうして貴方が目の前にいるの?  確かに私は飛び込んだのに  あぁ…私を呼んでいるの?  これは私の願望なのかしら  あぁ…  私を呼んでいる  私の名前を呼んでいる  貴方が私の名を呼んで泣いている  どうして…  ……泣かないで…  不思議…  貴方に言葉が通じたのかな…  涙は零れていたけど  笑ってくれたの  大好きな笑顔  あぁよかった…  その笑顔を焼き付けて私は行けるのね  うれしい…  その瞬間…世界は真っ暗になりました 
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