6人が本棚に入れています
本棚に追加
路地裏に響く2つの足音と息。
「やめろ!死にたくないっやめてくれっ!頼…むっ、あ……!」
必死に逃げ、もう一つの足音に訴える。
そしてもう一つの足音と静かな息が話しかける。
「死にたくないだと?はっ、笑わせんな。お前、俺のこと馬鹿にしてんのか…?」
コツコツと音がするのと同時に水が滴り落ちる。もう一つのよく逃げ回る足音は怯え、
「頼むっ!やめてくれ!」
叫び続ける。
が、ものともせずに冷静な足音は、
「頼むだぁ?殺された奴の痛みを思い知れ!!」
そういってナイフを振りかざした。
同時に鮮血が飛び散った。
そしてその場にゴトリと音たてて人が倒れた。
それはもう屍と化した1つの足音と息だった。
冷静な足音は、携帯電話を取り出しゆっくりとボタンを押した。
「あ、もしもし?任務終わりました。今、そっちに向かうんで死体処理班頼めますか」
淡々と告げる別の声。
『ん、流石だね。特別犯罪者取締暗殺部隊のNo.1襁褓之 白堵&黒惟』
そう彼らは特別犯罪者取締暗殺部隊略して、特殺部隊の総隊長なのだ。
電話の相手は特別犯罪者取締暗殺部隊の総司令官、金辺 無汰(かなべ なくた)だ。
「いや、今日任務遂行したのは黒惟の方です。ボクじゃありません」
『あ、そうなの?じゃ、きっと派手にやってくれたかな?』
「あ、血が服と壁についちゃいました……」
『あーら、結構派手だなぁ』
「派手な方が楽しいだろ?あーあ、つまんねぇ」
さっきとはまた別の低めの声が話し始める。
『あはは、じゃ今日は報告書書いて持ってきたら終わり。また明日仕事頼むよ』
「「はい」」
『じゃ、よろしく~♪』
ブツッ
「うっわ、嫌な音だな」
低い声は携帯電話を耳から離し眉間にシワを寄せた。
「黒惟この音嫌いだもんね…」
高めの声が低い声の主に云う。
「当たり前だろ!気色悪ぃ」
低い声は携帯電話をパタンと閉じ、ポケットにしまった。
「とりあえず行こう」
高い声が云った。
「わかった」
それに続いて低い声の主も云った。
2人は歩き出した。
これからも変わりなく事件と任務は続く。
彼らは襁褓之 白堵と襁褓之 黒惟。二つの人格は、一つの身体でゆっくりと2人の道を歩いていく。
最初のコメントを投稿しよう!