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『か、買い取り…?』
『村を?』
どよめく村人たち。
戸惑いを見せる村人たちを更に衝撃の事実を襲う。
『あぁ、すいません。買い取りはもう済んでいるんです。ここら辺一帯の権利書は、もうこちらにあるんですよ』
そう言うと、男は部下に書類を出させた。
それは、紛れもなく本物だった。
『そんな…』
『だってあれは…』
『柩が持ってるはず』
『柩さんが売ったっていうの?』
みな口々に憶測を語り不安になった。
『そんなこと』
ざわつきが止む。
言葉を発したのはあの男。
『どうだっていいんです。さっさと荷物をまとめて出ていって下さい。猶予期間として一週間あげますから』
満面の笑みだが、有無を言わせない迫力を持っている。
しかし、
『横暴だ』
『金もないのに引っ越せるか』
『そうだ!』
さすがに黙っているわけにはいかない。
『どういうことだよ説明しろよ!』
一人の村人が男に詰め寄ろうとした‐
その時!
『いでででで』
村人は男の部下に組伏せられていた。
気がつくと、男より先に来ていた男達が、いつの間にか周りを取り囲んでいた。
『一週間後に、工事を始めます』
そう言い残すと、男は背を向けた。
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