第一章・異変

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「…ここは?」 僕は再び地獄の様な場所に居るようだ。 なんだろう…身体中が痛いような気がする。振り返ると、背後には骨の山がそびえ立つ。 この山ができるまでに何万人が死んだのだろう… 何度考えても心が苦しくなる。 が、いつまでもこうして寝ているわけには行かない。奴がくる!。身体中の骨をきしませながら立ち上がる。 「うっっ」 …手足はちゃんと動く。出血は… 鎧には肋骨らしき物が数本刺さってはいるが、深くまでは到達していないらしい。 ズボッ!ズボッ! それを引き抜く。 足の傷は結構深そうだが、歩けないほどじゃない。 辺りを見回し、武器になりそうな物を探す。 汗と血に錆び、傷だらけでぼろぼろの剣と盾を拾い、握り締めた。 ふぅ… 思わずため息が出る。 と…  その隙を見計らうように 黒い翼をはばたかせ  巨大な鎌をもった「奴」が叫び声をあげながら飛び掛かってくる。  「!」 僕はぼろぼろの盾で一撃目をはじき、すぐ剣で反撃試みる。  おそらく敵であろう「奴」は  鎌の柄の部分でそれを弾く。  直ぐ様、奴の鎌が振り下ろされる。 それを剣で受けとめる。 嫌な金属音がチリチリと鳴る。 奴が叫ぶ。 「よくも…よくも仲間を殺したなぁ!!」 僕が叫ぶ。「…おまえも殺しただろう!おまえたち(闇)が攻めてこなければ戦争など起こりはしなかった!」  互いに弾き合い、再びぶつかる。 「黙れ!おまえにはわかるまい!!光の無い生活がどんなものか!!」 「うぉぉ!」 さらに僕は奴の鎌を足で弾き、その勢いのまま切り掛かる。  奴はそれを紙一重でかわし、鎌の柄で突こうとする。  …よく見ると柄の先端は鋭く尖り、槍のようになっている。  「くぅぅ!」 僕はなんとか避けようとする。  だめだ!間に合わない!  ドスッ…… それが当たる瞬間…  僕の目の前に光が広がっていった。
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