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…
(ふぅ。またここか…)
僕は躯の山の上に立って居る。
(…どうせまた切り掛かってくるんだろ)
ズキッ
「うっ…」
急に腹部に激痛が走る。
そこを見ると大量の血があふれ出ている。…穴が開いている様だ。
あの時の柄を食らったらしい。
見えない「奴」に向かい、大声で叫んだ。
「…おまえは!!この戦争が正しいと思っているのか!!
俺はおまえたちの仲間を殺した。だがそれはお互い様だろう。
しかし…このままだと…ずっと!!ずっと戦い続けねばならん!!それでいいのか…」
フッ
静まり返る闇の中から
さっきまで戦っていた奴の姿があらわれた。
顔は不気味な仮面で隠れているが、体つきから女だとわかった。
「…確かにな。…この戦いは憎しみに憎しみを塗り重ねているだけにしか思えない…」
どうやら奴も深手を負っているらしい。
肩から胸にかけて出血していた。
「…皆はこの戦いに疑問を持ってはいないのだろう。
互いの正義のもとに戦っているだけだからな。
だが、この山に敵も味方もないではないか…
これが我らの正義が行き着く先の未来なのだ…」
「…そうだな。もう…戦いに疲れた……それにこの山の一部になる気は無いしな。」
彼女は仮面に手を掛けた。
僕はなぜか
心臓が高鳴っていた。
「わが名は…」
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