第一章・異変

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彼女が側に居るときは  なぜかどんなときも落ち着ける。  高校に入ってすぐの頃。全校生徒の前でスピーチをするはめになったとき。  僕は慌てふためき、胃がきりきりしてきて。具合が悪くなり… 青ざめた顔でうずくまって居た。  そこに 「しっかりしなさいよ!たかがスピーチでしょ?」 とミーナが背中を叩いてくれた。 すると、それまでの緊張は嘘のように消えていて。 スピーチは一噛みもすることなく成功した。 …ふと思い返してみると 僕が苦しい時。  悲しい時。 いつも傍に居てくれて…  励ましてくれるのは彼女だ… 思い返していると、 昨日のクリス先生の言葉が頭をよぎる。  「彼女なんでしょ?」 考えただけで顔が熱くなっていく… ミーナ 「?顔が真っ赤よ?大丈夫?」 カーネ 「え!?あ、あはは、た、たぶん大丈夫だよっ」 ミーナ 「本当にぃ?…また昨日みたいに倒れないでよ!?」 カーネ 「え!?あ、あぁ。わかってるよ。」 こんな毎日っていいな…  心のそこからそう思えるようになっていた。 こんな日々が続いてほしいと願っていた。 …でもそんな僕の願いは  音を立てて崩れて行くことになる。 少しずつ… 少しずつ… 運命の歯車が動き始めていることを今の僕が知る由もない。
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