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ある日。
僕は恐ろしい夢を見た。
…暗やみの中、一人ぽつんと浮かんでいる。
…夜のような暗さではなく、少しも無い空間に一人浮かんでいるのだ。
…一瞬光が射し、目の前に広がって行く。
…真っ暗な空間が明らかになる。
僕が立って居たのは、ビルの屋上くらいの高い場所で。
そこから下を見渡すとあちこちに赤い水溜まりがあり、
草木などの緑はまったく見当たらない。
さら目を凝らして見ると、血溜りの周囲をボロ布を纏った人のような「者」が、うなり声をあげながら、何かを求める様に徘徊している。
ふと自分の足元を見る。今まで地面だと思って踏み付けていたものは…
血の気が引いていく。
それは人骨だったのだ。
しかもこの高さまですべてが骨…。
いったいどれほどの人間がこの山の一部になっているのか…
近辺に見える白い山も恐らくそうなのだろう…
教科書で見た地獄絵図が現実になったかの様だ。
唖然としている僕の視界に
ふっ
と何かが素早く動くのが見えた。
それを目で追う。
最初は遠くに感じていた黒っぽい「それ」は確実に…
異様な早さで僕が居るところへ近づいている。
…の、上ってきた!!
その姿を目を凝らして見る。
不気味な顔?
いや、仮面と言うべきだろうか。おそらく…足元の骸の破片で出来ているような色合いをしている。
瞬きをした一瞬に、そいつを見失う。
すぐさま背後に異様な気配を感じる…
振り返えると、奴は何時の間にかそこに居た。
「な、なん…」
声を発した次の瞬間…
そいつは鋭い鎌の様な物を構え…
何の躊躇も無く僕に振り下ろす!
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