第一章・異変

5/19
前へ
/157ページ
次へ
とにかく…この手を離さなきゃ僕が死ぬ… これでも六十キロ近く体重あるのに…ミーナは僕を軽がると持ち上げている。 …でも大丈夫。伊達に今まで腐れ縁で過ごしては居ない。こんな時の対処方法くらいわかってる。 カーネ 「み、ミーナ!」  ミーナ 「なによ!」 カーネ 「ほ、ほっぺにご飯つぶが付いてるよ!」 ミーナ 「え!?」 ミーナは真っ赤になり  僕の首から手を離し自分のホッぺを触った。  …彼女は僕と二人で居る時は乱暴をふるったりするが、学校では人が変わったようにおとなしくなる。だから自分の格好にはとても敏感で、少しの乱れも見せたくないらしい。 この僕だけに対する行動が余計に夫婦扱いを招いている。 カーネ 「ゴホゴホ、あー…苦しかった。いくら探しても米粒は付いてないよ。」 ミーナ 「な…なんですって!また私に嘘をついたの!」 カーネ 「だってこうでもしなきゃ放さないじゃん。窒息するっての。もうちょっとさぁ、攻撃に手加減をし」 キーンコーンカーンコーン 授業開始のチャイムが鳴り響く。 カーネ 「やべっ!遅刻!」 ミーナ 「!アンタのせいだからね!」 僕とミーナは慌てて走った。  と… 突然僕の視界がぐらぐらと揺れる。  大型の地震か!?。 しかし、揺れている中ミーナはズイズイと先に進んで行く。 カーネ 「…こんなに揺れてるのに何で平気なんだ!?」  振り返ったミーナが不思議そうな顔で戻ってきた。 ミーナ  「?…カーネ?ふらふらしてどうしたの?」 言われた意味がわからなかった。 カーネ 「何を言って……み…な」 ドサッ…  視界に闇が広がった。 薄れゆく意識の中で  ミーナの声と  とても懐かしいような… 暖かなぬくもりを感じた気がした。 ミーナ 「ち…ちょっと!冗談はやめてよね?カーネ?…カーネ!!」 ミーナの声はだんだんと遠退いてゆく。 ・  ・  ・
/157ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加