浮遊

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廊下の長椅子には詩穂が座り その横に そわそわしながら あきらが窓から夜の空を眺めていた そんな2人の方へ 歩いて来る男性がいた せが高くて 体格のよい 日に焼けた 男性が 近付くやいなや 話しかけて来た すいませんが 先ほど 電話をかけてきてくれた人かな? 彼の視線は 詩穂に向けられていた はい 水野です 青木さん? そうです ところで あきの具合は? あき?… 詩穂はしばらく考えたが 倒れていた男性が あきという名である事を理解した はい 命には別状ないそうですよ その言葉を聞いて仁は ほっとした様子だった あきはなぜ倒れたんですか? おそらく 潰瘍からの出血だろうって 潰瘍? 仁は目を大きく開き その後壁に 手をつきながら あいつ そんなにプレッシャーだったのか 具合悪い素振り 見せなかった と独り言の様に仁はつぶやいた あ すいません 一人でブツブツと言って 実は 俺 音楽プロダクションを経営してて 去年に重要なポストに居る奴が辞めてしまって その後にあいつ 嫌 あきが入ってきてくれて…かなり キツかったんだと思います…あきが倒れたのは 俺のせいだな…
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