声よ届け

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個性という名の服が、ぞろぞろと登校しはじめた。 高校では珍しい、私服の学校。 3年2組の朝は五月蝿い。 仲良しグループが固まり、いろいろな話をする。 グループになって、何の価値があるのか俺には理解できない。 一人、自分の席に座ってボーっとする。 それが俺の日課。 ヘッドホンをしているのに、周りの声が耳に入る。 どうして、そんなに大声で話す必要があるんだ… 頭の中で、ぼやく。 みんな、自分の個性を持っているのに、それを隠したがる。 周りと違うのを嫌がる。 周りと違うのを怖がる。 何で…? 個性は出した方がいいのにな…。 俺は服が個性的だ。 パンクを愛用している。 すれ違う人から、変な目で見られることもあるけど、関係ない。 俺は個性を隠すのが嫌だ。 .
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