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「あの…恭平くん。」
顔を上げると、紗理奈が立っていた。
「ん、何?」
「恭平くんって、いつも何を聞いてるの?」
少し茶色い、肩くらいある髪を横に結んで、セーターにチェックのスカートの紗理奈が俺に質問した。
俺は、ヘッドホンを外し、紗理奈につけてあげた。
「あれ…?何も聞いてないの?」
ヘッドホンを耳に押さえながら紗理奈は言った。
「何も聞いてない。周りの声消しのためにつけてるだけ。」
「周りの人たちのこと、嫌い…?」
変な気持ちになった。
心の中を読まれてるような感じ…
「嫌いじゃない。ただ、好きになれないだけ。」
「好きになれない?」
紗理奈は、クエスチョンマークを沢山浮かべた。
「みんな、自分の個性を隠してるじゃん?それが嫌なだけ。」
「個性を隠す…かぁ。」
紗理奈は、独り言のように呟いた。
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