声よ届け

3/5
前へ
/7ページ
次へ
「あの…恭平くん。」 顔を上げると、紗理奈が立っていた。 「ん、何?」 「恭平くんって、いつも何を聞いてるの?」 少し茶色い、肩くらいある髪を横に結んで、セーターにチェックのスカートの紗理奈が俺に質問した。 俺は、ヘッドホンを外し、紗理奈につけてあげた。 「あれ…?何も聞いてないの?」 ヘッドホンを耳に押さえながら紗理奈は言った。 「何も聞いてない。周りの声消しのためにつけてるだけ。」 「周りの人たちのこと、嫌い…?」 変な気持ちになった。 心の中を読まれてるような感じ… 「嫌いじゃない。ただ、好きになれないだけ。」 「好きになれない?」 紗理奈は、クエスチョンマークを沢山浮かべた。 「みんな、自分の個性を隠してるじゃん?それが嫌なだけ。」 「個性を隠す…かぁ。」 紗理奈は、独り言のように呟いた。 .
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加