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しばらく眠っていたようで目を覚ますと茜色の夕日が窓辺から射し込んでいた
夕刻時だという事を教えてくれる
隣には君の残り香だけが残っていた
俺はなんだか解らないけど胸騒ぎがした
麗子の「大丈夫…大丈夫だからね しょう君」
あの言葉が何故か引っ掛かっていた
何で こんなに不安なんだ?
別に…変わった事なんてないのに…
その日の夕食時
俺は やっぱり食欲なくて食べずに麗子の事ばかり考えていた
不安がこみ上げる
そんな時 病室の扉が開いた
俺の担当医だ
こんな時にかぎって毎回来やがる
今度は飯でも食えって
お医者様 直々に説教しに来たのかよ?
少し苛々し乍[ナガラ]
そんな事を思っていた
でも俺の予想を反し医者は微笑み言葉を生み出す
「林原さん donar見つかりましたよ!
良かったですね」
と男の先生はにこやかに告げた
『donarが…って事は俺は助かるって事ですよね?』
俺は喜々[キキ]の声音[コワネ]で訊いた
「はい!手術で心臓を一時的に止めてしまった後の後遺症が気になる処[トコロ]なのですが――――…」
医者はまだ何か言っていたが俺の動揺は隠せず
頭の中でグルグルと俺の想いが溢れていた
俺は助かる?
麗子と2人で また今までの様に何事もなかったかのように暮らせる…
俺は喜びの方が勝ってしまった
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