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朝食なんて食えるか
そう思いながら箸にすら手を伸ばさずに居た
食事時 必ずと言っていい程
看護婦さんが俺の病室へ訪れた
箸すら持たなくなって2日弱 看護婦さんに叱られた
「林原さん ちゃんと食べて下さい!!」
俺は苛々して
ついつい怒鳴ってしまった
『るせぇな 関係ねぇだろ』
そう言って右手で おもいっきりトレー事
朝食を床へ散撒[バラマ]いた
ガシャーンという耳障りな音が部屋中に響いた
それを見た看護婦さんは黙って床に散らばる朝食を見つめていた
朝食の匂いがフワっと俺の鼻をつくと同時に吐気が込み上げグッと堪える
憤懣[フンマン]な想いを胸に憤[イキドオ]りを露[アラワ]に眉間に皺を寄せる
十数秒後 病室の外から誰かが走ってくるパタパタとスリッパを鳴ならす音が聞こえてきた
その音は俺の病室でピタっと止まり勢いよく病室の扉が開かれた
「しょう君!!」
あっ…ヤベ 麗子だ
麗子は見舞いの花片手に扉を閉めた
麗子が来てくれて嬉しい反面
こんな場面は見られたくなかった
アチャーっと顔を歪め俺は右手で顔を覆って 俯いた
『麗子…音聞こえてた?』
麗子は散らばる朝食に視線を巡らせながら言葉を紡ぐ
「聞こえてたわよ!!
音が聞こえて慌てて来てみれば愉快な事になってるじゃない!!」
麗子は怒気を含んだ声音でそう紡いだ後
肩までの茶髪の髪を揺らしながら
しゃがみ込み朝食を拾い集めていた
「すいません 看護婦さん…
彼 少し苛々しているだけなんで許してやって下さい」
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