6月・泣くなみだ。

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そうこう考えている時だった。 駐車場に1台の車が止まった。 母親の車だ。 僕は家を飛び出して、母親の車まで猛スピードで接近した。 母親はゆっくりと車から出てきた。 「何、慌ててんのよ。」 母親はゆったりと口を動かした。 「いや…その、…………アレ?」 母親の車の中を見て、僕は驚いた。 何故なら誰も乗っていなかったからだ。 「他の人は?」 「あぁ。今日からあんたのとこで暮らすから、ちょっとその周りを車でウロウロしてくるって。」 「その人、車乗れるの!?」 脳内に年上と暮らす嫌な妄想がよぎった。 「何言ってんの、まだ未成年よ。親と一緒に回ってるの。」 一瞬にして嫌な妄想はどこかへ消えた。 「ふぅ…。」 「なに安心してるの、年上とでも思った?」 「当たり前だろ!」 「でも、女の子よ。」 「そんなの年上に比べたら………女ッ!!?」 なんで未成年の男と女を住まわせて危ないなど考えなかったのだろうか、この親は。 子供を信用してくれるのはイイが、こういう時くらい疑ってくれ。
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