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僕は下げていた頭をかなりの速度で上げて、開いたドアを見た。
ドアと地面の間に大きな鞄が置かれた。
僕の不安と期待は脳裏を活発に働かせた。
(お願いだ、中3だけは……中3だけは避けてくれ)
何度も必死に願った。
願い続けていると、ドアと地面の間に動くものを見つけた。
ヒールの高いサンダルを履いた足が見えた。
(大人っぽい……イヤイヤ、決めつけるにはまた早い。最近の中学生は皆履くさ!)
自分を必死に励まし続けた。
日除けに黒いカバーシールが貼られているドアの窓に彼女の影が映る。
足の爪先から脳天まで緊張が走った。
果たして結果は……。
顔が見えるとほぼ同時に、母親が言葉を発した。
「あんたと同じ年とは想えないわ。綺麗でしょ?彼女。」
「おっ……同い年!!?」
こんな非日常的な現実をどう受け止めろと言うのだろうか。
僕はこれからどうすればいいのだろうか。
真っ白な頭の中は、しばらく色を取り戻さなかった。
これが僕と彼女の非日常的暮らし、通称“非グラシ”が始まった。
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