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光の奇跡
俺はどこにでもいる高校生。
俺は教室で絵を書いた。
俺は、いつものようにカバンの中からスケッチブックを取り出した。
何も書かれていない真っ白の紙を筆で、まるで切り刻むように書き殴ってく。
どうせ、くだらない。
くだらない絵を書描こう。
俺の同級生が近寄ってきた。
[おまえさ今度、絵の個展とかやんだろ?テレビの取材受けたとか聞いたんだけどマジ?]
[まあ……]俺は答えた。
[おまえ前から美術得意だったもんな。そういや、校長室の前にかかってんのもおまえが描いたんだろ?]
[……まあね…]俺は曖昧に答えた。
知らない顔では、もちろんないが、こんな風に親しくされる覚えもない。
[つーかさ、おまえのオヤジもそうとう上手いらしいな。そりゃ、息子のおまえもーーっ]
次の瞬間に俺は鋭い視線をよく喋るそいつに向けていた。
相手は怯み、声を失う。
バシンッ!と、ドアを叩くように閉めた音がした。
[なんなんだよあいつは]
オヤジの話しはしたくない…。
俺は心の中で呟いていた。
俺が出ていった教室。俺の態度に話しかけた二人の後ろで成り行きを見ていた同級生たちも加わり、皆一様に不機嫌な表示になった。
[なんだよ。あいつ]
と、彼が言った。
あの日俺は何を思った?
何を考えていた?
俺はまた一人で絵を書いていた。
そこへ一人の少女が立っていた、
[なんだよ……]っと俺は答えた。
[べつに…]と少女は言い、静かにその場所から離れた。
[ふう……。やれやれだ]俺は思った。
[おーい!]
呼ばれていることに気付いて、俺は振り向いた。
[どうしたんですか?さっきからぼーっとして?]
その男は個展を担当する先生だった。
[すいません。少し、疲れるてるみたいで……]
俺が適当に言うと、
[ああ。個展まで何日もないですからね。ゆっくり休んで下さい。]と、言って辺りを遠い目をして眺めた。
その男は俺のオヤジを尊敬してた…。
[でも、俺はオヤジが嫌いだ…]心の中で答えた。
家に帰り、オヤジが喋りかけてきた。
[絵の調子はどうだ?]普段どおりの、人に威圧感を与える口調だ。
[はい…順調です。お父さん]
[そうか、では、軽く見せてもらおうか。少し気に入なる事がある…]
俺は絵を見せた。
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