273人が本棚に入れています
本棚に追加
/269ページ
「生憎ですが、俺はフリーランスとして活動する方が向いてるんで。」
(お前はいつも似たり寄ったりなことしか言わないよなあ。)
だがリチャードはダグラスの返答を予想していたのだろう。鼻で笑うと、
(じゃあな。また頼むぜ?)
といって電話を切ろうとした。
「ところで、今テレビで『今回の事件は組織間の抗争だ。』と言う話が流れてたんですが、あれはリチャードが流したんですか?」
(まさか。そんなわけないだろ。俺はマスコミに偶発的だと説明したぞ。)
やはりリチャードではないか…。
「そうですよね。誰が流したかちょっと気になったもので。」
(何だ?便利屋の勘か?)
「まあそんなとこです。ファミリーの人達にも聞いてみるといいかも知れませんよ?」
(自分から『俺達がドンパチやりました。』なんてマスコミに言っても何の得もないんだがな。とりあえずちょっくら調べとく。)
「わかったら教えてくださいね。」
(『ドラゴン』…ダグラス、お前もわかったら教えろよ。じゃあ報酬はいつも通りの方法で渡す。)
それだけ言って、リチャードは電話を切った。
ファミリーの誰かが情報を流している━━━━あるいは、ファミリー以外の誰かがこの街の勢力図や動きを調べている?
1人で考えても答えは出ない…ダグラスは短くなった煙草を灰皿に押し潰して、バスタオルを手にバスルームへと入った。
最初のコメントを投稿しよう!