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「俺に恋しないでね」
それは悪魔の言葉のようだった。
「どうして?私、スキになっちゃったのに…」
思わず問い掛けた。
「だって君はみんなの『姫』なんだよ?俺が手を出したらお客さまが嫌がるだろ?」
と言われた。
“なら『姫』になんてならない!”
そう言おうとした。その時
「あっ、だからって『姫』やめようと思わないでね。俺、誰もスキにならないんだ。報われないってわかってる恋ほど辛いものってないだろ?」
その時悟ってしまった。私の恋した人は、美しい悪魔だったってことに。そして、この恋は報われないってこと…
「そんな…」
私は愕然とした。
恭介は悲しい微笑みを浮かべて、
「ゴメンね。」
とだけ言った。
私はその微笑みでさえ美しいと思ってしまった。
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