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『叶絵も匪口さんも明日は用事があるなんて・・・・・』
弥子は母親から貰ったある水族館のペアチケットの存在に憂鬱を感じていた。
彼女の知り合いで、水族館に一緒に行ってくれるようなタイプは断られた二人くらいしか思いつかず、せっかくのチケットは多分台無しになるだろう。
ため息をつきながら彼女がビルの階段を上り、向かったのは毎日のように通っている探偵事務所だった。
「ヤコ、我が輩を待たせるとは身分も高くなったものだ」
扉を開けた弥子に、いつものように罵声を浴びせたのは机の上に座る魔人だった。
「学校から真っ直ぐ事務所に来たんだよ」
弥子の分かりやすい嘘に気付いた魔人もといネウロはいつのまにか彼女の後ろに回り、いやらしい笑みを浮かべる。
「先生、嘘はいけませんよ」
助手の時の丁寧な口調で話かけるネウロに、弥子は悪寒を感じる。
「・・・本日はどんなお仕置きを?」
肩を震わせ冷や汗を流す弥子だったが、ネウロは彼女のカバンの中からピンクの封筒を取り出しただけだった。
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