その男、危険(デンジャラス)につき

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その男、危険(デンジャラス)につき

紅い閃光。 紅い閃光。 俺の胸を貫通する銀色の流星、 眩暈が、する 視界が、白い。 靄が、かかった…よう、に 黒い世界。 暗闇の 何もない、 何も聞こえない、 何も感じない、 何も触れはしない、 ただ… もがく。 錆びた鉄の苦い味 吐気が、する… 忘れたくない、恋人の微笑み。 浮かんでは、消え去る記憶容量の全て… ああ… あぁ、俺は死ぬんだな。 これが、走馬燈 てやつなのかな… まだ、 まだ、まだ、俺 …俺は、死なない。 死にたくねぇよ 貫いた、銃弾… 薬莢の地面を転がる音 赤い鮮血… 迸る、俺の血。 誰、だ。 誰が、俺を 俺を狙った? 誰だ… 誰なんだ。 分からない… 分からない… 死にたく、ない… 死にたく、ない… まだ、俺には、やることが 事件は 終わってはいな、い… まだ まだ、だ。 まだまだ、まだまだまだまだまだまだまだ…ッ!!! 「始末出来たのか?」 「…国家の忠犬か、ハッ!よく躾られたタマだったなぁ」 「…後は我々に任せろ、No.4」 「いやだね、俺様もうちょっと…このわんコ君と遊びたいねぇ」 「屍体とか?」 「見ろよ…この面、苦悶に耐えるって感じだぜぇ…きひひひっ!」 「悪いが、お前の異常嗜好にこの人間の身柄はやれん。こいつは、見せしめだ」 「見せしめねぇ…」 「我々に歯向かった愚民の成れの果て、としてな」 「へぇへぇ、ゾッとしないねぇ」 因幡白兎、享年29才。 死因、銃殺による、出血多量及び心臓不全。 推定死亡時刻…1999,12/24、26:37:12。 殉職による二階級特進。 警視庁、一課、警視正… …その男、危険につき、処分。
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