サプライズ・・・

2/2
前へ
/21ページ
次へ
父は子供が喜んだ顔を見るのが好きである 普通親はそうであるが父は度を超える時がある 私は小さな時からバイクや車が好きで あれは小学校に入るか入らないくらいの時だろう 肺炎をこじらせ入院していた私は毎日車のプラモデルをベッドの上で作る事しか暇をつぶせない退屈な日々を送っていた ベッドの枕元にはたまごの絵がかけられいたのを覚えている それがひよこになりニワトリになると退院という事らしぃ 父は毎日病院に訪れては欲しいものがないか聞いた 「兄弟3人並んで眠れるぐらい大きな車」 子供ほど恐ろしいものはない 発言に生活状況など微塵も関係ないのだから もしかしたら入院したら何でも好きなものが手に入るのではないかと錯覚するほどに優しく まさに親バカと首から札をさげる勢いであった そんなある日 枕元のたまごがいきなりニワトリになった・・・ ありえない・・・ が、ほとほと病院に飽きていた私は退院間近な事が嬉しくてたまらなかった しかし今思えば胸中 穏やかでない人がそこにいた 父である父にはあるサプライズがあった そのため私の退院が早まったのが予定外だったため焦っていたのである しかしご心配なく サプライズは大成功を収めることになる 退院の朝 あいにく小雨が降る薄暗い日だった 病院の入り口で母と一緒に父が車を回してくるのを待っていた そこへ止まった見たことのない一台の車・・・ 赤い大きな車だった スライドのドアが勢いよく開き中から満面の笑みを浮かべた父と兄貴と弟がいた 父は言葉を鵜呑みにしたのか ちょうど買い換え時期だったのか 希望どうりの3人並んで眠れるぐらい大きな車を買ったのである 「お前の退院が早くなって納車がギリギリだったぞ、間に合って良かった」 と得意気な顔を浮かべた などなどサプライズは尽きない 愛すべき親バカなのである・・・
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加