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前章で公務員になったとあるが
父は料理の腕をいかし小学校給食センターに勤務していた
沖縄本島内にはいくつか小学校の中に直接調理場を設け、温かいうちに給食を食べてもらえるような配慮がなされていた
私が通う小学校もそうであった
父からすれば願ってもない職場である
仕事の時も子供が目の届くとこにいるのだから
父は転属願いをだし
すぐさま私が通う小学校へ勤務した
小学校生活をいつでも父が目を光らせている場所でおくらなければいけなくなったのだ
父は生徒みんなから人気があった
「給食のおじさん」これが父の通り名である
おのずと私は「給食のおじさんの子供」となるわけだが
みんな誉めてくれた
「家に帰ってもうまい飯が食えるんだろ」
「いいなお父さんが学校にいて」
「優しいだろぉ」
様々な褒め称えるお言葉を頂戴したのを思い出す
しかし
たしかに嬉しい反面私には不都合が多かった
たまに教室の窓をふと横切る父
何か悪さすると休み時間に飛んでくる父
学校行事に後ろの列で仁王立ちしている父
学校に安息の場所など存在しなかったのである
ある意味プレッシャーとの戦い
悪き行いは筒抜けである
学校で説教され、家に帰っても説教され・・・
しかし思い起こせば
本当に父と2人3脚の小学校生活であった
そこは兄弟みな同じ思いであろう
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