闇・・・

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闇・・・

私が十代も後半にさしかかった頃の事である ある日の夕方 何かのお祝い事だったと思うが、近くにあった祖母の家へ向かって父と歩いていた時 父はふいにフラフラと車道に向かって流れるようにフラついた 私は一瞬ハッとした後父の腕をとっさに掴んだ 「どした?大丈夫か?」 と聞く私に父は 「大丈夫だ、一瞬立ちくらみしたようだった」 と話した その時は疲れてるんだろ~ぐらいに私も本人ですら思っていた それから数日もしないうちに父の体調は明らかに思わしくなくなった 明らかに痺れやふらつきなどの症状がひどくなっていったのである そのうち良くなると言っていた父もさすがに気になったようで検査してもらう事にした。 検査の結果を聞いて家族全員が闇に突き落とされたかのような衝撃をうけた 重症筋無力症 神経関係の病気で自分の筋肉を動す機能が麻痺してしまうのだ しかも完治はまずない病気であると・・・ 元気で当たり前だと思っていた父が突然立たされた暗く長い闇のトンネル これから始まる苦難はとても辛く険しいものであった 時々襲うめまい 平行感覚も保てず 足の痺れ 気づかないうちに口が開いていたり だんだん表情ですらうまく作れない状態になっていった 何回目かの検査の時医者は言った 「完治はないが症状の進行を食い止める、あるいは遅らせる方法はあります」と 家族の意見は一致していた 少しでも方法があるならすがりたい気持ちであった 程なくして桜が舞う始まりの春に父は入院した・・・ つづく
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