一章 召喚

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サマエルさんも、やはり美形だ。 灰色の髪は腰まである。いったん髪を3つに分けてあって、中程の長さの所で一つにまとめて縛ってある。 ・・・とりあえず、表現しにくい髪形なのは確かだ。 彼の両頬にも、黒い模様が描いてある。歳は僕より上だ(そこ断言)。 しかし、碧眼の瞳のすぐ下の頬が紅く染まっている。 しかも・・・ 「・・・お酒の匂いがしますね・・・」 酒臭い サマエルさん、まだ笑っている。 「鼻いいね~。ふへへ・・・」 そう言って、カバンみたいな物の中から、赤紫色の液体が入った瓶を取り出した。 「葡萄酒だよ?飲む?」 「いえ、遠慮します」 「うそぉ!?イブリース踏んじゃったの!?あはははは!やっぱりしおん君って、いいキャラだよ!ははは」 「・・・」 笑いすぎだよ。 「あ~あ。しおん君、もう命の保証ができなくなっちゃった♪えへへ」 「・・・え」 真っ青になる僕。 サマエルさんは、葡萄酒を飲みながら、話を続けた。 「だって、イブリース、ニンゲン大嫌いだし。天界を追放されちゃうのをわかっていながらも、ニンゲンにひざまづくのを拒否したくらいだよ? へへへ・・・しおん君、自分で自分の首絞めちゃったねぇ」 ニタニタ笑いながら話すサマエルさん。 とてつもなく恐ろしい事をしてしまったのだろうが、僕はそもそも、堕天使がなぜ追放されたのか知らない・・・。 「あの・・・サマエルさん。」 「ん?何?しおん君」 よくある“サマエルでいいよ”は無かった。上下関係が厳しい世界のようだ。 「何で、堕天使は天界から追放されたんですか?」 「え?知らないで聞いてたの?ふふふ・・・やっぱりしおん君は面白いよ」
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