一章 召喚

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「天使はね、ニンゲンが創られる前にいたんだ。 つまり君達の先輩だね。 なのにある日、神がニンゲンを創り、地上の支配者にしようとしたんだ。 元々、地上も天使が管理を任された場所。ニンゲンの創造の事だけでも、天使の中には反対する者が多かった。けど、神はニンゲンを創造した・・・」 葡萄酒をグラスに注ぎながら、サマエルは話し続けた。 「そしたらね、神はアタシ達に向かって、とんでもないことを言い出したんだよ。 『天使達よ。この地上の支配者にひざまづきなさい』ってね・・・」 そう言って、彼はグラスに入っていた葡萄酒を飲み干し、笑った。 「・・・ぷっ・・・ぷへへ・・・ひゃはははは!!!この事がきっかけで、アタシ達堕天使の中には、色々な感情が支配していったんだよ! 傲慢、嫉妬、色恋、憤怒・・・。事情はそれぞれだけど、皆神に叛いたんだ。怒った神は叛いた天使を皆、ここ魔界に落とした」 空になったグラスに、また葡萄酒を注ぐサマエル。 「そうだな・・・また追々詳しく話してあげるよ。ふふふ。葡萄酒、無くなっちゃったから、帰るね」 最後の一口を、くいっと飲み干し、最後に 「それに、詳しく話すなら、それぞれの大罪を起こした本人を見てからの方が、分かりやすいと思うんだ」 と言い残し、サマエルは暗闇の中へ消えてった。  
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