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「――――ふっあ!」
肺から抜けた酸素を呼吸で大きく取り戻す。
「はぁはぁ、はぁ……」
校則路から教室まで歩くことなく、全力のダッシュは想像以上にキツイ。
部活に入ってるワケでも無いので体力も並のオレとしては、暫くの間は周りと弁当と討論には気をつけたいところだ。
「はぁ、はぁ、…………ふぅ」
ようやく呼吸も落ち着き、頭の中でごぉんごぉん鳴り響いていた鐘の音も止まる。
薄ぼんやりとした視界は正常さを取り戻し、膜を覆っていた霧は霧散した。
「よ、し。入るか」
横開きのドアに手を掛ける、直前に視界は横にスライドする。
「お、空儀じゃん。今日は遅刻なのか?」
そこには一年の付き合いとなるクラスメートの姿があった。
ちなみに女子。
「おはよ、周防。
別に遅刻じゃねぇよ、ただ遅れただけだ」
ドアに止めていた手を動かす。
眼前のクラスメートは、遅刻と変わんないじゃんと言いた気な目付きをしていたがスルーする。
「それにだな、遅れた理由には、そりゃもうウチのクラスの男子(一部を除く)が泣いて切望して崇め讃え奉るような、朝のドッキリイベントがあったお陰―――――」
その言葉は完全にドアを開けた瞬間に中断させられることとなる。
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