プロローグ

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『ピッピッピー』 審判の笛を吹く音で試合は終わった。 結果は1ー2、僕らの高校、市立緑山高校サッカー部は夏の大会を終えた。 「ああー、負けちゃったね」 僕と同期の高校3年、サッカー部マネージャーの植草和羽(うえくさかずは)は言った。 和羽は僕、音崎風馬(おとさきふうま)の幼なじみ、3歳から今まで学校も塾も何もかも一緒だ。 「うん」 「なにしょげてんのよ。これから勉強でしょ。勉強」 「うん」 僕は元気なく言った。 「何でうんしか言わないの。風馬は1点取ったんだし。それでもダメ立ったんだから仕方ないじゃん」 そう言い終わると同時に、和羽はワンワン声をあげて泣いた。 「ごめん、ごめんって、泣くなよ、っな」 「うん」 そんな話をしながら僕と和羽は電車で家に帰った。
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