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「急ぐのも貴方の人生、それもいいと思いますよ」
男は自分のスタート地点へと目を向ける。
「ただ、私には合わないので」
のんびりと構える男に僕は小さな焦りを覚えた。
「僕だって、人に言われなくても頑張って、急いでたんだ、必死に走ってきたのに…」
スタート地点は近くに見える…。
「貴方の人生ですよ?たまに人に左右されるのも良いですが、本人が力つきてしまったら…」
男の言葉に僕は拳をつよくにぎる。
「でも、疲れて足を止めたら皆が…それが嫌で仕方ない、逃げ出したくなるんだ…」
男は言葉に小さな微笑みを浮かべた。
「逃げてもいいでしょ?立ち向かうばかりでは疲れます、体制を整え直してからでも悪くない」
僕は今までの彼らと違う言葉に顔を上げる。
「逃げてもいいんですよ、ただ…逃げ続けなければ」
あぁ…、そうか、有難う。
僕は逃げてもいいんだね、そしたらちゃんと又立ち向かうよ。
肩が急に軽くなるのを感じたんだ。
「この先きっと長い長い道がずっと続きます、そんな道で進むだけじゃなくて、たまに振り返っても、立ち止まってみたりも良いでしょ?」
男の笑みは本当に優しくて僕は疲れが一気に取れるのを感じた。
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