Bloody letter

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気がつけば、比呂の眦からは涙が溢れていた。 「――ごめんな、雅紀。ごめんな。」 そう呟きながら涙を零す。比呂が、雅紀の愛に気付いた瞬間だった。 「…いいのよ、比呂…。お願い、1回でいいから、愛してるって言って?」 雅紀は、比呂の上に跨ったまま、そう言って微笑んだ。 しかし、比呂は……。 「それは、言えない。俺、やっと分かったんだ。自分の気持ちに嘘をついても、辛いだけなんだって。お前の気持ちを結果的に利用した形になってしまって、本当に済まなかった。だけど、俺は……」 比呂は、雅紀の思いを聞いて、決めたのだ。自分も、自分の思いに正直になろうと。しかし、それが、裏目に出てしまうとは……。 比呂のその言葉は、雅紀にとってよほど衝撃的な言葉だったようで、彼女は、先程まで僅かに残っていた理性を失ってしまったのだ。 「……うわぁぁぁぁぁぁぁ……!!」 彼女は、叫びながら持っていた包丁を思いっきり、自分の目の前にいる比呂に突き立てた。 首……頭……胸…… 彼女のそんな仕打ちに、比呂は叫ぶ暇も無く、絶命した。 冷静さを取り戻した雅紀が辺りを見渡すと、周りは血の海。
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