Bloody letter

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比呂にとっての最近の休日は、実に有意義なものになっていた。図書館に行ったり、喫茶店でゆっくりしたり。人によってはつまらない、そう感じるすごし方であったが、理知的で、静かな場所を好む比呂にとってはそこは一人の時間を過ごすことのできるベストスポットだったのである。 その日も、比呂は数少ない女友達と図書館での時間を過ごしていた。 帰宅した比呂が、何気なく、郵便箱を覗いたその時だった。郵便箱の中に見慣れない封筒があったのである。 血のような、真っ赤な封筒。 宛名には自分の名前。 比呂が、その中身を確かめようとしたそのときである。 「――っ…?!」 比呂は手紙の中に入っていた何かによって、怪我をしてしまった。流れ出る血。まるで、差出人不明のその封筒のように、真っ赤な血。中を覗いてみると、剃刀の刃と一枚の便箋が入っていた。 「――?!」 便箋を取り出すと、そこには、こう書いてあった。 『比呂は私のもの。 誰にも渡さない・・・。』 比呂は、自分が誰かに恨みを買っているか、ということを必死に思い起こす。しかし、比呂の思いつく限りではまったく心当たりがなかった。
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