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しかし、そんな彼女には一つの欠点があった。それは嫉妬深いこと、そして、好きな彼を必要以上に束縛したがることである。
比呂と彼女が別れた原因は、そんな彼女の束縛に比呂が耐えかねてのことであった。
恋愛という行為に執着心のない比呂はそれに後悔はなかった。
彼女がただ言い寄ってきて、煩いから付き合ってやった。
自分に合わないと思ったから別れた。
ただそれだけ。
恋愛なんて、何のメリットもない、くだらないお遊び。
労力と金の無駄遣い。
そう思っていたのである。
だが、彼女は・・・。
雅紀という名の彼女はもしかすると、比呂との別れを認めたくないのかもしれない。まだ、比呂と付き合っている気でいるのかもしれない。
もしも、これらの手紙の主が雅紀だとしたら。
比呂は、今までのその内容全てに合点がいったような気がした。
しかし、だからといって、彼女のその行為を認めた訳ではなく、ただ、彼女の行為に嫌悪感と怒りが募るのみ。
「……比呂君?」
急に様子が変化した比呂に涼子が声をかける。
その言葉に比呂は我に返った。
「…どうかした?」
涼子が比呂に問いかける。
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