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比呂は涼子の部屋に入った。
涼子の無事を祈りながら。
涼子の部屋のドアはいとも簡単に開いた。
鍵がかかっていなかったのだ。そして、中の光景に比呂は唖然とする。
几帳面で、散らかったことなどなかった涼子の部屋が、まるで誰かと争ったかのように荒れているのである。そして、その部屋の主は、荒れた部屋の真ん中に横たわっていた。
「――涼子!!」
比呂は、横たわる涼子に駆け寄る。彼女は、既に息絶えていた。
彼女の首には、何かできつく締めたような跡。
――雅紀だ。
比呂はそう確信した。
「――雅紀!!出て来い!!」
自分を見つめる何者かの視線に気付いた比呂はそう怒鳴りちらした。
視線の主なんて、今の状況では、彼女しか考えられない。
しんと静まり返る室内。
しばらくして、クローゼットの扉が開き、そこから雅紀が現れた。
「比呂・・・やっと、ふたりきりになれたね・・・。」
そう言って微笑む雅紀の表情はもはや狂っているとしか思えなかった。
「ふざけるな!!お前は、自分のやったことがわかっているのか?!」
そんな雅紀に、比呂は怒鳴り散らす。しかし、狂気に狂った彼女には何を言っても無駄であった。
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