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ふとした拍子で転がりだしてくるのを自分で止められない。 声がずっと忘れられないんだ。 だからいろんな曲を聴いてごまかした。 曲線を描くように音楽が入ってくるのに、直線で声が残っているんだよ。 電話したい。 声を聞いてみたいんだ。 でも、電波はもう届かないんだろうね。 悲しくは、ない。 哀しいのかもしれない。 ただ、泣きそうになることがあるんだ。 悲しい水色の涙なんか、ない。 哀しい透明な色しているんだ。 あふれるけど、流れない。 表面張力ぎりぎりで、ぎりぎりの場所で留まるかなしさ。 あなたと出逢えたのは偶然でも必然でもなく。
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