BLUE

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 一瞬、わずかな沈黙が訪れ、すぐに耳に騒音が流れ込んでくる。私はその瞬間に別世界に移動するのだ。 目の前に広がる青く透き通った世界。音は自分が作る音だけ。他の人の声などは全て遮断される。そして私はこのわずか50mの世界を全速力でまっすぐ進む。無我夢中で手を伸ばし、先へ先へと進もうともがく。体全体を通り抜けていくブルーがとても心地よい。耳元ではつねに小さな騒音が響く。そう、私は飛行機になったのだ。そう錯覚さえさせられる。  下を見ると下も青空のように真っ青だ。自分がスイスイ進んでいくのがよくわかる。50m進んだところで折り返す。なにせ自分はこの世界を合計で200m進まなければならないのだ。私のエンジンは距離を重ねるごとに少しずつ加速してゆく。それが私の方法でもあるのだ。
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