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「…良いかい?猫子と遊ぶ事を僕が君に言った事は誰にも内緒だ。約束できるかい?」
大人は優しい口調で子供に言いました。しかし、当然意味の分からない大人の言葉に困惑する子供。
大人は説明する様に続けました。
「君は自分から猫子と遊んだという事にするんだ。街の皆にはそう伝える!
そうすれば君は街中から心優しい子として見られ、広場の子供達もきっと君と一緒に遊ぶ事だろう…。」
大人はそう言って心にも無い作り笑いを浮かべたのです。
それは嘘に溢れていてどす黒く、濁った笑顔でした。
自分達の為に。
街の為に。
大人は自分にそう言い聞かせ、自分を正当化してどんどん罪に汚れていくのでした。
そんな大人の心境は知らない子供はさぞかし嬉しそうにニッコリ笑いました。
「ありがとう!僕の為にそこまで考えてくれる人今まで全然いなかったよ!!だから僕本当に嬉しい!」
子供はそう言いましたが大人は唯苦笑をするだけで、ずっと黙ったままでいました。
大人の計画はまだ続いています。何か少しでも心にチクリとくるものがあったのでしょう…。
その日子供は夜遅くまで語り続けました。大人はその話のどれもいまいち良く思えないでいるのですが、何か次の名案は。と、ずっと聞いていたのです。
そして夜中、子供はそのまま眠ってしまいました。
大人は子供を自分のベッドへ連れて行き、そのまま寝かせてやりました。
遊んで話し続けて、疲れたのでしょう…。子供はグッスリ眠っています。
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