子供

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 翌朝、夜中の会議の結果は街中に伝えられました。しかし、子供を持つ者はやはり猛反対です。  しかしそれが自分の子供の命を守る為の考えだと説明されると、大人達は全員、渋々と了解しました。    子供の引き取り先を決めたのは街の役所でした。    大人達はもちろん、子供達も自分の行く場所も分からずに不安そうにしていました。  もちろんその中にあの子供もいます。    昼ごろになると子供達は出発し、この街の子供全員なのでそれはとても多い数でした。  各々が自分の行くべき場所へと向かって行きました。    子供達全員がいなくなった街は静かでどこか殺風景です。  大人達はそんな光景に寂しさを覚えながらも、普段通り生活をしました。    そして会議を行った数人の大人は子供が残っていないか調べて廻る役を任され、各家を調べて廻りました。  猫子と遊んだ子供の家にはあの大人ともう1人の大人が調べたのです。  もちろん子供の姿はありません。    軽く調べると2人はその家を直ぐに出て行き、違う家へと向かいました。   シーンと静まる部屋、それは誰もいないという事を主張している様でした。  しかし何処からか物音が響き、それは崩されました。    音はクローゼットの中から聞こえ、クローゼットは勢い良く開きました。  そこから出て来たのはこの家の子供です。    子供はあの後人混みに紛れ、自分の家へて逃げる様に戻ったのでした。  そして大人が見回りに来ると知り、クローゼットの中へと隠れたのです。    何故子供達はそんな事をしたのか?    それは誰にも分かりませんが、子供にはそこまでしてこの街でやりたい事があったのでしょう…。    その日、子供は普段通り家で本を読んだりしてのんびり過ごしました。  そして街に人影が少なくなると、大人の目を盗んで、子供は外へ出て行きました。    隠れながらも時間を掛け、向かった先は猫子の住んでいる森です。
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